夏の旅_森林と川の町編

夏の旅を〆る

坂の上の方にある酒屋さんで、お土産の地酒とお味噌を購入。質量のあるお土産。 もう昼過ぎ一番のバスには間に合わないので、1時間後のを宿の休憩室で胡坐をかいて待つ。 ここも人がいない。宿の人もたぶんいない。 蒸し暑い、畳の匂いが上ってくる。 表通り…

ふたつの資料館

さあ観光。 ちらほら駐車場から人がやってくるが、まだ人はそんなに多くない。 ある有名作家に関する古風な資料館が開いていたので入ってみた。 その素敵な木造家屋に今なお住んでいるというおばあさんに、料金を支払う。おばあさんは小さいころその作家の息…

峠とカフェ

町近くの峠を登り切ったところにある広場で、ベンチに座り山を眺める。 誰もいない。山を見ながら、やはり帰りたくないと思う。山の中で暮らせたら、どんなに楽しいことか。根拠もお金も所縁もないのに、何故だかそんな気がしてならない。 私は山に何を見出…

刺しそうな虫

時間通り宿に到着した。やっと重い荷物を肩から降ろせる。 長期休みの時期になると国内外からの観光客であふれかえるこの地域も、今はまだ人が少ない。宿のドアを開けても、人の気配がしない。広い玄関にはサンダルが3足あるだけだった。 しばらくすると宿…

滝と川

山を登るバスに15分程揺られ、大荷物を抱えながら滝に向かう。 平日だし空いてるっしょ~と悠々と構えていたが、意外と家族やカップルで涼みに来ている人が多く、近くのキャンプ場は満員だった。期待してたのと違うと心の中で呟かずにはいられなかったが、思…

藪の中で迷子

綺麗な川と滝を目指して、ローカル線に乗って行く。窓の外を眺めていると、不思議な名前の駅があったり、ホーム一面に猫じゃらしが生えていたりするのが目に入る。なぜホーム一面に猫じゃらしが生えるんだろう。 駅に到着して、まず荷物預かりのサービスをや…

宿

チェックインにはまだちょっと早いが、宿に向かう。 前とは違うお部屋。ひとりにぴったりなサイズ感の和室だった。窓からはこの宿のちいさなお庭や、周りの背の低い家々、そして奥には黒い山が見えた。ここに書生としてわたくしめを置いてくれないかしら。 …

目的地に着いたら

目的地の駅についたら、まず宿に向かった。 数年前同じ宿に泊まったことがあり、ここはまたゆっくり来なければいけないと思って、今回の再来に至る。相変わらず美しい建物。 玄関に入ると、天井近くにある窓から注ぐ白い日光だけが頼りの薄暗い廊下の先で、…

夏の旅のはじまり

ひとり旅をしてきた話。 私はひとり旅の大愛好家ではないが、行きたい場所に行きたい時に行くことを心掛けているので、「今!すぐ!行きたい!」と感じたら荷物まとめてひとりで電車に乗る。 旅先では基本的に宿や静かな街並み、そして自然を楽しむので、所…